フライデー記者にセクハラ発言を放った大石剛氏の(株)静岡新聞社代取居座りを許した取締役会議事録の開示を求める訴訟
2022/8/30更新
2022/8/30
静岡新聞社・SBSの原点回帰(真実の報道と公正な主張)を求める行動第6報
2回目の取締役会議事録の謄写交付請求訴訟の提起と取下げ
- 取締役会議事録の閲覧謄写の許可申立(会社非訟)事件の取下げ
第4報で報じた静岡新聞社・SBSに対する取締役会議事録の閲覧謄写の許可申立(会社非訟)事件ですが、申立後に裁判所から、本件は非訟事件の対象ではないと指摘があり、取下げを検討するよう打診されました。
裁判所からの指摘は、①静岡新聞社・SBSの登記簿にはいずれも監査役設置会社であると記載があるが、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」と記載がある。会社法2条9号の定める監査役の定義「監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう」に当てはまらないから、両社は会社法上の監査役設置会社には当たらないと考えられる。②会社法上の監査役設置会社に当たらない場合、株主として取締役会議事録の閲覧謄写を求める根拠は会社法371条2項となるため、同条3項に基づく本件申立は適切ではない、というものでした。
そこで、7月8日に上記申立ての全部を取下げることにしました。
- 2回目の取締役会議事録の謄写交付請求訴訟と取下げ
7月8日、上記許可申立事件を取下ると同時に、再び会社法371条2項に基づき静岡新聞社・SBSにして取締役会議事録の写し交付請求訴訟を提起しました(2回目)。しかし、8月24日に原告である静岡新聞社の元編集部記者(退職済)のAさんが当職を解任し、原告本人が8月26日に裁判所に取下書を提出しました。当職は上記訴訟を再度提起し「真実の報道と公正な主張」に挑戦したいと考えていますので、原告となって下さる方(静岡新聞社・SBSの株主)を募ります。解任の経緯については追って報告します。
2022/7/30
静岡新聞社・SBSの原点回帰(真実の報道と公正な主張)を求める行動第5報
7月26日,監査役に対し「訴訟提起請求」を送付
第1 私は株主の代理人として静岡新聞社の監査役に対し,「現取締役4名と元取締役4名の合計8名は,連帯して25億円を静岡新聞社に対し支払え」との訴訟提起請求を送付しました。その根拠は以下のとおりです。
- 2021年1月14日付の静岡新聞朝刊の報道によると、「1月13日スルガ銀行と静岡新聞は、同行が保有するベルナール・ビュフェの美術作品632点の譲渡契約を結んだ。作品は『ベルナール・ビュフェ美術館(長泉町東野)』を運営している一般財団法人が引き続き管理し、従来通りに公開する」とある。
- しかしながら、同記事を超える情報については一切非開示になっている。雑誌ZAITEN2021年6月号によると、「ビュフェ作品群については、静岡新聞社が所有権を持つが、散逸防止のために管理展示するベルナール・ビュフェ美術館からは移動させず、簡単に転売もできない内容という。しかも譲渡額は非公開」、「譲渡額は総額25億は下らない」(静岡新聞関係者)とある。
- 上記ZAITENの報道があってから約1年が経つが、静岡新聞から何の反論もなく新たな情報開示もない。社内的にも①作品を購入した目的、②社業にどのように結びつくのか、③同美術館運営費の一部の負担をすることが社業にどのように結びつくのかの説明が、発表から1年5ヵ月も経つのに一切ない。これらの事実から総合すると、ZAITENの記事は概ね正しかったと評価できる。
- 当該美術作品を同美術館から移動も出来ず、簡単に転売もできず、従って貴社には何のメリットもなく、ひたすらスルガ銀行ないし創業家の岡野一族を助けてやるために25億円を下らない金額を出捐したというものであり、当該取締役会において賛成した取締役は、会社に対して善管注意義務違反の行為を犯し、貴社に25億円は下らない損害を与えたという外ない。
- よって、本書面により、当該取締役会において賛成した取締役に対して、本書面到達後60日以内に責任追及の訴えを提起するよう請求するものである。
第2 県内大手紙の報道力の弱体化と地元紙への期待
大手紙の発行部数の激減によって記者の削減が進行しています。
私は大学時代と弁護士になって10年位まで全国紙は朝日新聞を購読していましたが,それ以降はほぼ毎日新聞を購読しています。しかしながらここ数年の県内版は県内の政治,社会の動きを伝える記事は少なく事件事故は発表ものが殆どです。調査報道や掘り下げ記事はありません。花鳥風月と毎日新聞が主催する野球の記事と記者のコラムで埋められ読む記事が余りありません。他の全国紙も同じ傾向のようです。
私はパソコン操作ができないのでデジタル版に移行できません。やはり紙媒体しかありません。
県内政治や社会の動き・事件や事故の報道は記者数の多い地元紙に依拠せざるを得ません。
つまり,静岡新聞やSBSの記者に頑張ってもらうしかありません。
静岡新聞の原点回帰(真実の報道と公正な主張)を求めて闘いを続けます。
静岡新聞・SBSのOB・現役の方のご意見・情報をお待ちします。秘密は厳守します。
ベルナール・ビュフェ美術館を巡る件で,スルガ銀行関係者や美術館関係者等からの有益情報を求めます(但し,無償です)。もちろん秘密は厳守します。
2022/7/6
静岡新聞社・SBSの原点回帰を求める訴訟第4報
昨日7月5日、取締役会議事録の閲覧謄写の許可申立書を静岡地裁に提出しました。
6月23日の第3報でお知らせしたとおり、昨日(7月5日)申立書を提出しました。同裁判は公開の法廷では行われませんので、随時当HPでお知らせします。静岡新聞・SBSのOB・現役の方からのご意見や情報をお待ちします。
2022/6/23
静岡新聞社・SBSの原点回帰を求める訴訟第3報
取締役会議事録の謄写交付請求訴訟を取下げました。近日中に取締役会議事録の閲覧謄写の許可申立(会社非訟事件)を行います。
6月22日、静岡新聞社・SBSに対する取締役会議事録の謄写交付請求訴訟の取下書を裁判所に提出しました。
両被告の答弁書において、「監査役設置会社の株主が取締役会議事録の閲覧謄写請求をするには裁判所の許可が必要となるが(会社非訟事件として閲覧謄写許可申立てをする)、その手続きを経ていないから、原告の請求は法定の要件を満たしていない」と指摘があり、調べたところ、その指摘が正しいことが分かりました。そのため、上記訴訟は取下げ、近日中に、取締役会議事録の閲覧謄写の許可申立を行うことにしました。
上記訴訟の第1回口頭弁論期日が7月1日(金)午後1時10分に決まったと報じました(6月2日付記事)が、上記事情でなくなりましたので、取材や傍聴を予定されていました方はご注意下さい。
静岡新聞社・SBSから提出された答弁書の内の最大争点部分の主張は「譲渡証書は、文字どおり譲渡があったことを証するための資料に過ぎず、いうまでもなく譲渡の成立要件ではないから、譲渡証書の返送がなくても、原告の株主としての権利は、原告が株式を取得した当初からの合意によって、原告から両被告が指定する関連会社に当然に移ったものであるから、原告は両被告の株主ではない」ということになります。新たに起こす会社非訟事件で反論反証していきますが、静岡新聞・SBSのOB・現役の方からのご意見や情報をお寄せ下さい。
2022/6/2
6月2日静岡新聞社・SBSの原点回帰を求める訴訟第2報
取締役会議事録の謄写交付請求訴訟の第1回期日は7月1日(金)午後1時10分に決まる。
提訴したのが昨日ですが、何と速攻で第1回期日が決まりました。訴状提出の翌日に第1回期日が決まるのは余り例がありません。係は静岡地裁2部4係で事件番号は令和4年(ワ)第376号です。2階の法廷です。是非多くの方の傍聴を期待します。
2022/6/1
静岡新聞社・SBSの原点回帰(真実の報道と公正な主張)を求める訴訟第1弾
6月1日株主が取締役会議事録の謄写を求める裁判を提訴
6月1日、静岡新聞社元編集部の記者で退職しているAさんが私を訴訟代理人として上記裁判を起こしました。取締役会議事録の目録を添付します。感想・意見・アイデアを当事務所にお寄せ下さい。静岡新聞社とSBSはAさんは株主ではないと主張しています。
目録(PDFファイル)
2022/5/24
2022/5/24 東京高裁に控訴理由書を提出しました。
2022/5/24東京高裁に控訴理由書を提出しましたので、掲載致します。
皆様のご意見、ご感想、アイデアを求めます。
控訴審の第1回口頭弁論期日は8月9日(火)14:00、8F 812号法廷に決定しておりますので、メディア各社の取材、関心ある市民・読者の傍聴を期待します。
2021年5月24日付「控訴理由書」(PDFファイル)
2021/12/27
静岡新聞社大石剛代表取締役居座りに関する訴訟の判決言渡し(請求棄却)がありました。
12月24日午前9時55分、静岡地裁203号法廷で判決言渡しがありました。
判決のうち、裁判所の判断の部分を掲載します。判決に対する皆様のご意見、ご感想を求めます。
勿論控訴して東京高裁の判断を求めます。
判決(PDFファイル)
2021/11/17
原静岡新聞社大石剛代表取締役居座りに関する訴訟の第4回口頭弁論期日のご報告
2021年11月2日(火)午前10時15分、第4回口頭弁論期日が開かれました。出頭したのは当職(原告)と静岡新聞社の代理人弁護士で、傍聴にはマスコミ1社が来ました。期日間に、原告は準備書面(5)と人証の申出を提出し、これに対して被告から準備書面(5)が提出されました(どちらもHPに掲載しています)。
- 裁判の様子
当職は原告本人(当職)と大石剛氏の人証を申請しましたが、静岡新聞社は準備書面(5)で必要性なしと意見し、裁判長も「尋問の必要はなし」と判断しました。そして、本期日で裁判は終結しました。
- 判決言渡し期日
2021年12月4日(金)午前9時55分
場所は静岡地裁2階203号法廷
判決言渡しにはメディア各社の取材、関心ある市民・読者の傍聴を期待します。判決後の報告集会も予定しています。
- 静岡新聞社の姿勢
静岡新聞社は2020年7月にニューヨークタイムズのイノベーションリポートを模して、読者、社員、県内外の人物などに静岡新聞・SBSはどう変わるべきかについてリサーチしてまとめた100ページ超のイノベーションリポート作成して公式HPで公開しています。同リポート上では、静岡県に根ざしたメディア企業として、読者や静岡県民と真正面から向き合って県民の側に立って不正や腐敗をただし、真実を報道し、読者と信頼関係を築くという信念・理念を持って企業変革に取り組んでいることをアピールしていますが、実際には、フライデー報道後も大石剛氏を代表取締役に居座り続けさせ、大石氏が逃げ回って記者会見に応じないことを良しとし、静岡新聞紙上でも大石氏の弁明記事、検証記事の公表を怠って読者や世間の声を無視する姿勢を貫いています。本件提訴後も静岡新聞社の姿勢が全く変わらないことは非常に残念です。
引き続き、皆様のご意見、ご感想、アイデアを求めます。
2021年10月29日付「被告準備書面(5)」(PDFファイル)
2021/11/1
原告は準備書面(5)と人証の申出を提出しました。
2021年10月25日、当職(原告)は準備書面(5)と人証の申出(原告と大石剛氏)を提出しました。
- 準備書面(5)の要旨は次のとおりです。
被告静岡新聞社は、大石剛氏が代表権を持ち続ける理由について「企業変革の取り組み、新規ビジネス開拓、重要な投資案件で経営判断を迫られるため」等と説明するが、被告静岡新聞社の姿勢は自らが掲げる信念・理念・企業方針と著しく乖離するものであり、長年の読者である原告は、被告静岡新聞社の判断を断じて許容できない。
原告は県民の一人として、静岡新聞読者の一人として、フライデー報道に関わる大石剛氏の真意や大石剛氏の代表取締役居座りを認めた取締役会の議論の内容・取締役会の姿勢を知りたいのであり、記者や社員が立ち上がって大株主として経営支配権力のトップに立つ大石剛氏の権力をチェックし、同人の女性蔑視と傲慢不遜と腐敗を糾すことを求める長年の読者に対し、被告静岡新聞社は真摯に読者に向き合うべきである。
- 関心のある方は是非傍聴して下さい。また、多くのマスコミ各社の傍聴と取材を求めるものです。終了後、説明報告と意見交換会を開きます。引き続き、皆様のご意見、ご感想、アイデアを求めます。
2021年10月25日付「原告準備書面(5)」(PDFファイル)
2021年10月25日付「人証の申出」(PDFファイル)
2021/10/4
静岡新聞社大石剛代表取締役居座りに関する訴訟の第3回口頭弁論期日のご報告
2021年9月24日(金)午前10時30分、第3回口頭弁論期日が開かれました。出頭したのは当職(原告)と静岡新聞社の代理人弁護士でした。そして、傍聴にはマスコミ1社が来ました。期日間に、原告は準備書面(4)を提出し、これに対して被告から準備書面(4)が提出されました(どちらもHPに掲載しています)。
- 当事者の主張
(1) 当職は準備書面(4)において、慰謝料請求権の根拠について主張を変更しました。当初は「取締役会議事録の開示拒否によって読者の知る権利を侵害され、多大なる精神的屈辱を被った」と主張していましたが、これを変更して「開示拒否に限らず、下記(2)の事柄について読者は知る権利があるが侵害された」と主張しました。
(2) 原告準備書面(4)から引用
大石剛は民間人だが、県内で最も読者の多い新聞社と多くの県民が見るテレビ局(SBS)のトップで大きな影響力を持っている人物、つまり公人と云える。その公人がフライデー報道によってテレビ局のトップ(代表取締役)と取締役は辞任したが、被告静岡新聞社の代表取締役顧問として代表取締役には居座り続けている。原告(古い読者)として許容できないのは、大石剛がメディアの記者会見の申入れに応じないばかりか、静岡新聞の中で自らの弁明記事すら発表せず逃げ回っており、被告静岡新聞社もこれを良しとして自ら検証記事を公表せず放置し続けていることである。古い読者としては、被告静岡新聞社に対して、
① 上記フライデー記事における大石剛の発言が事実であるか否か
② 事実とした場合、大石剛のセクハラ認識の有無の確認
有りとした場合、発言のどの部分がセクハラに該るのか
ないとした場合、その理由の説明
③ 大石剛本人が上記記者に対する発言内容において反省すべきことがあったのか
④ ③があったとして発言部分の特定と反省の内容
⑤ 代表取締役顧問として代表取締役に居座る理由
⑥ なぜ記者会見に応じないのか
⑦ なぜ静岡新聞紙上で弁明や反省の弁を自ら発表しないのか
⑧ 被告静岡新聞社はなぜ上記事件について検証記事を現在に至るも公表せずに放置し続けているのか
について知る権利(説明を求める権利)を有している。
(3) そして、定期購読者の知る権利の発生の根拠について、次のように主張しました。
定期購読者に対し、新聞社は情報提供義務を負い、読者との信頼関係を揺るぎないものにするため、
① 言論・表現の自由を守り抜くと同時に、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない
② 新聞人は、会社や個人の利益を真実の報道に優先させない
③ 会社や代表者個人に不利益なことでも、市民や読者に知らせるべき真実は報道しなければならない
という購読契約の信義則上の付随義務を負っているのである。
2000年6月21日に制定された現在の新聞綱領は、購買契約の信義則上の付随義務の存在を裏付けるものである。
(4) これに対して被告の準備書面(4)で反論がありましたが、「読者の知る権利、読者と新聞店との新聞購読契約の付随義務、新聞倫理綱領によって、読者への情報提供義務が法的に認められる余地はない」、「原告が新聞店との新聞購読契約に基づき被告が発行する新聞を購読していることや、被告が国民の知る権利に資する立場にあることは、取締役会議事録の開示や原告が求める説明に応じなければならない法的根拠にはならない」というものでした。静岡新聞社には、地元メディアのトップとして自らを厳しく律する姿勢、読者の信頼を得ようとする積極的な姿勢が全く見えません。残念なことです。
- 裁判の様子
第2回期日の時点で、裁判長は本期日で弁論を終結するという方針でした。当職は、本期日で終結させないために、「次回までに私(原告)の陳述書と人証申請(原告と大石剛氏)を提出したい」と伝えました。裁判長は、被告代理人に大石剛氏の人証申請の必要性について質問しましたが、「必要ないと思っている」と即答しました。裁判長は、「原告の陳述書と人証申請を見て採否を判断する」と述べて、本期日は終了しました。
- 次回期日
2021年11月2日(火)午前10時15分 203号法廷
当職(原告)の陳述書を提出し、当職と大石剛氏の人証申請をします(10月25日まで)。被告は、必要があれば人証申請に対して意見を述べることになっています。
関心のある方は是非傍聴して下さい。また、多くのマスコミ各社の傍聴と取材を求めるものです。終了後、説明報告と意見交換会を開きます。引き続き、皆様のご意見、ご感想、アイデアを求めます。
2021/9/22
原告は準備書面(4)を提出し、(株)静岡新聞社からは準備書面(4)が提出されました。
2021/8/4
第1回、第2回口頭弁論期日のご報告
- 2021年6月4日(金)午前11時30分、静岡地裁で第1回口頭弁論期日が開かれました。
出頭したのは原告本人である当職のみで、被告である静岡新聞社の代理人弁護士は欠席しました。静岡新聞社は事前に答弁書を出し、原告は答弁書に反論する準備書面(1)を提出しました。(いずれも当事務所のHPで公表しています)
- 2021年7月30日(金)午後4時、第2回口頭弁論期日が開かれました。
出頭したのは当職(原告)と静岡新聞社の代理人弁護士でした。
(1)期日間に双方が提出した文書
原告側
2021/7/5付「請求の追加的変更の申立」(PDFファイル)
2021/7/5付「準備書面(2)」(PDFファイル)
2021/7/29付「準備書面(3)」(PDFファイル)
被告側
2021/6/15付「準備書面(1)」(PDFファイル)
2021/7/26付「準備書面(2)」(PDFファイル)
2021/7/30付「準備書面(3)」(PDFファイル)
(2)原告の主張と被告の反論
- 当職は、訴状では請求の趣旨を「原告は被告に対し、代表取締役社長大石剛が社長を辞任し代表取締役顧問に就任した事実に関わる2021年3日9日付取締役会議事録の写しを交付せよ」としていましたが、2021年7月5日付請求の追加的変更の申立を提出し、新たに「被告は原告に対し、代表取締役社長大石剛氏が社長を辞任し代表取締役顧問に就任した2021年3月9日の取締役会において議論された発言内容、取締役会の結論、結論に至った経緯と理由を開示せよ」という請求の趣旨を追加しました。
- 当職は読者の知る権利に基き、大石剛氏が代表取締役に居座り続けることになった理由の開示を求めていますが、読者の知る権利の存在は早大棚村政行教授の論説(早法80巻3号81頁)に基づくものです。棚村教授は新聞購読契約について、「かつては、新聞購読契約を新聞販売店と購読者との売買契約とみて、新聞紙という媒体物の継続的供給契約と解する立場が有力であった。しかし、単に新聞紙という媒体物の移転という側面だけでなく、情報の収集、加工、制作、編集という一連の作業の結果、送り手としての媒体(新聞社)がさまざまな情報を提供し、受け手としての購読者は新聞に載せられた情報の入手獲得を目的として情報の提供を受領しているといってもよい。そのため、現在では、新聞購読契約を新聞の物的側面からだけでなく、情報の側面を重視して契約構成をし、新聞社と消費者間に新聞情報の提供(供給)契約が成立していると解する立場が有力になりつつある。したがって、媒体に化体された情報の内容の不実性など情報の評価が問われるような場合は、媒体社と受け手との間に明示または黙示の情報提供契約が成立し、不正確であったり虚偽や真実に反する情報については情報提供契約上の義務違反が問われることになろう」と述べています。棚村論文は新聞の広告責任について論じたものですが、広告の責任以上に新聞の本質に関わる「真実の報道と公正な主張」に反する情報の隠蔽、情報の不開示は許されるべきではないと解することができる、というのが当職の主張です。
- また、読者が新聞社に対して開示を求める具体的請求権は、1997年2月1日に新聞労連で採択された「新聞人の良心宣言」においても裏付けられていると主張しました。正に大石剛が記者会見に応せず、被告自身が他のメディアからの質問を拒否し続けたのは、上記の良心宣言が指摘するとおり、自社の不祥事については、外部に極力公表しようとせず、内々で処理してひたすら他のメディアや市民が忘れてくれるのを待つという姑息な手段に外なりません。読者が裁判という手段に訴えて被告の新聞人の良心宣言に反するやり方の是正を求めることは長い目で見て被告の信頼の回復にとって奨励こそすれ、退けられるべきではありません。
「新聞人の良心宣言」の第5項
[公私のけじめ]
新聞人は会社や個人の利益を真実の報道に優先させない。
①会社に不利益なことでも、市民に知らせるべき真実は報道する。
②仕事を通じて入手した情報を利用して利益を得ない。
③取材先から金品などの利益供与は受けない。
解説
[公私のけじめ]について
新聞は『商品』でもあるが、一方で社会の不正や不平等を暴く『公器』でもある。新聞人が、真実の報道よりも会社や個人の利益を優先させたなら、公器としての信用は失墜し、どんなに高邁な理想を語ったところで読者の信頼は得られない。
①について
報道機関は、自社の不祥事について、外部には極力公表せず、内々で処理して済ませようとする傾向が強い。しかし、隠そうとしたことが明らかになれば、報道機関の信用は余計に失われる。オウム事件に関連して起きたTBS問題でも、このことは繰り返し指摘された。新聞人は、自らが犯した過ちについては、これを認め、公表する勇気をもたなくてはいけない。と同時に、会社にとって不利益なことでも、市民に知らせるべきことは隠さずに報道する義務があり、このような場合に会社からの不当な圧力がかからないよう、しっかりと監視、支援していく必要がある。
- ところが被告の反論は、原告が会社法371条に定める取締役会議事録の閲覧・謄写を請求できる者ではないという主張をしていないにも関わらず、無理に会社法371条の主張をしているとこじつけるもので、噛み合った反論ではありませんでした。また、読者の知る権利を認めるかという当職の求釈明についても一切回答を拒否しました。
(3)裁判の様子
原告と被告の主張が噛み合っていなかったため、当職は議論が進むように裁判所に主張の整理をして欲しいと思っていると述べたところ、裁判長は「これまで出た主張で判断したい。原告主張の権利が認められる、認められないかは法的評価になるので裁判所の判断になる」と述べ、弁論を終結しようとしました。被告代理人もこれ以上の反論はないとのことで「今日で終結して欲しい」と述べました。当職は読者の知る権利、具体的請求権について議論を深めたいと思っていることに加え、原告の主張と被告の反論が噛み合っていない中での本日の終結には到底納得できませんので、当職は裁判長に対し、「準備書面(3)で引用した文書を書証として提出したい、主張も追加したい」と抵抗したところ、裁判長は期日の続行に応じ、次回で終結するのでそれまでに全ての主張と書証を出すように述べました。
(4)次回期日
2021年9月24日(金)午前10時30分
原告は追加の主張と書証を提出します。(9月10日まで)
被告は必要があれば反論することになっています。
裁判の土俵で読者の知る権利、具体的請求権の本格的論戦を期待して提訴したのですが、残念ながら議論の深まりがなく一審が終わりそうです。上記棚村政行教授論文の新聞購読契約上の「新聞の広告責任」を超えた新聞購読契約上の「読者の知る権利、具体的請求権」を論じた文献を探しています。研究者、新聞人からの意見・アドバイス、参考となる文献資料等の情報提供を求めます(但し無償です)。
2021/7/20
当職が7月12日にした再質問に対し、静岡新聞社から回答が来ました。
当職の2021年7月12日付「質問状その2に対する回答について、再度の質問」に対し、7月19日に静岡新聞社編集局長から回答が届きました。
感想、意見、アドバイスがございましたらお寄せ下さい。
当職の意見は後日掲載予定です。
2021年7月19日付回答(PDFファイル)
2021/7/13
静岡新聞社の「読者と報道委員会」について質問状を送付しましたが、ほとんどの質問事項に回答がないため、7月12日に再度質問を行いました。
2021/6/16
(株)静岡新聞社から準備書面(1)が提出されました。
2021/6/4
原告は2021/6/2付 準備書面(1)を提出しました。
2021/5/28
(株)静岡新聞社から答弁書が提出されました。
2021/4/13
第2報 大石剛氏が(株)静岡新聞社の代表取締役に居座り続けることを容認した2021年3月9日付取締役会議事録の開示を求めた訴訟(以下「大石剛氏の代表取締役居座り容認を問う訴訟」(仮称))の第1回口頭弁論期日が決定
2021年6月4日(金)午前11時30分
静岡地裁民事1部合議係係属、事件番号 令和3年(ワ)第248号、法廷は2階の203号法廷
傍聴は自由
第1報(3月24日の記事)に添付の訴状を読んで関心を持たれた方は是非傍聴して下さい。口頭弁論終了後、場所を変えて私から説明報告会を開く予定でいます。
2021/3/24
私が原告となって静岡新聞社に対し、大石剛前社長の辞任と代理取締役会顧問への就任を決定した取締役会議事録の開示請求と開示拒否による慰謝料請求訴訟を静岡地裁に提起
- 2021年3月9日、写真週刊誌報道を受けて大石剛氏は静岡新聞社、SBSの社長職を辞任しましたが、同日付で静岡新聞社の代表取締役顧問に就任しました。大石剛氏は静岡新聞社の代表権を維持し、経営に携わり続けています。
- 私は、長年の静岡新聞の読者として、知る権利に基づき、静岡新聞社に対し、大石剛氏が社長を辞任し代表取締役顧問に就任した事実に関わる2021年3日9日付取締役会議事録の開示を求めました。しかし、静岡新聞社は開示を拒否しました。
- 週刊誌報道後、大石剛氏が静岡新聞社の代表取締役社長を辞任したにも拘わらず、代表取締役顧問で残ると決定した2021年3月9日の取締役会において、どんな議論がなされ、なぜ代表権の顧問に踏み留まったのか、どんな議論がなされたのか、その詳細が隠蔽されているため、本日3月24日午前10時に提訴に踏み切りました。
- 裁判の内容は節目ごとにご報告する予定です。ご意見・感想・情報は当事務所までメール(fujimori@po2.across.or.jp)かFAX(054-247-0509)でお寄せ下さい。
情報源は秘匿しますのでご安心下さい。
訴状はこちらです(PDFファイル)