1 |
同居していた姉が入院し、独り暮らしを始めた知的障害のA子さん(当時53才)が、B社(広島県廿日市市)から化粧品の電話勧誘販売を受けた。B社販売員は、A子さんの話す内容や言葉遣いから、A子さんが知的障害であり理解力・判断力・意思力が欠如していることに直ぐに気付き、毎日のように電話をし、「顔がつるつるになる」「糖尿病が良くなる」と虚偽の説明を繰り返し、僅か1ヶ月余りの期間に常識を逸脱した契約をさせた。その内容は、 |
|
契約数 |
52 |
化粧品:約70年分、健康茶:約9年分
ダンボール:約100箱 |
契約総額 |
915万3,465円 |
内 代金引換払い |
823万3,000円 |
クレジット契約 |
92万0,465円 |
|
2 |
B社はA子さんから代金を確実に回収するために、代金引換の宅配便を利用し、A子さんが「化粧品はもういらない」と言うと、話をすり替えたり、吉永小百合に似ているとおだてたりして断らせなかった。 |
3 |
A子さんが化粧品の被害に関して弁護士に委任した以降も、B社販売員はA子さんに架電し、弁護士の解任を促し多大な精神的苦痛を与え続けた。 |
4 |
A子がB社に支払ったお金は、知的障害のA子さんを心配した父姉兄らが若い頃から少しずつ蓄えたものであり、本件被害により生活の蓄えの半分位を失ってしまった。 |
5 |
2005年3月の静岡地方裁判所浜松支部における判決では物的損害額として、化粧品セット2セット、健康茶1セット、シャンプー1セットを差し引いた全額(774万3,960円)、A子さんの弁護士委任を翻意させようとした行為について慰謝料(20万円)、弁護士費用(79万円)の損害を認め、B社とB社販売員に対し総額873万3,960円の賠償命令を下した。B社らは控訴せず、一審で確定した。 |