■ 絵画商法(最新更新日:2016年12月8日) | ||||||||
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2010年4月16日,アールブリアン株式会社に関する絵画商法につき,被害者4名(埼玉・名古屋・神奈川・東京 各1)が,表記の会社及び役員らを相手取り,合計2450万4,102円の損害賠償を求める集団訴訟を東京地裁に提起しました。 |
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1.2009年4月27日に名古屋地裁民事第6部が下した原告全面勝訴判決につき,アールブリアンらは2009年5月14日付で名古屋高裁に控訴していましたが,2009年10月8日,名古屋高裁民事第4部(岡久幸治裁判長,加島滋人裁判官,鳥居俊一裁判官)は,一部遅延損害金の始期ならびに訴訟費用負担割合を変更したものの,1審判決を大筋で全面的に支持し,アールブリアンらの控訴を棄却しました。 2.現在,当事務所では上記事件以外にも東京地裁で3件の同種裁判を係争中で,新たに依頼を受けた1件を提訴準備中です。 |
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2009年8月26日,水戸地裁日立支部(民事2係,西村康一郎裁判官)においても,アールブリアン株式会社らによる絵画商法の組織的な違法性が認められ,アールブリアン株式会社及びその代表者登坂輝久(会長),登坂勇(社長),直接の販売店の株式会社ギャラリエブラーヴ及び代表者西尾ひとみに対し,連帯して金192万8034円の支払いを命ずる原告全面勝訴判決が言い渡されました。東京高裁,名古屋地裁の全面勝訴判決に続く判決です。 原告は茨城県出身で当時25歳,大学院卒業後にソフトウェア関連会社に就職,配属されていた地元の事業所から東京の本社へ長期出張となり,慣れない東京で一人暮らしを始めて程なく本件被害に遭ってしまいました。原告は気が優しく内向的で,あまり女性と接したことがなかったため,女性販売員の過度に甘えた口調や押し問答に近い強引な勧誘,あたかも原告に特別な好意を抱いているかのような態度に惑わされ,僅か3ヶ月半の間に3件もの契約を締結させられてしまい,高額なクレジットの支払いに対する過重負担と将来への不安から,精神的不安定に陥ってしまい,遂には仕事を辞めざるを得なくなるという二次被害も被らされてしまいました。 現在,当事務所では東京・名古屋にて5件の同種裁判を係争中です。被害に遭った人たちは,一寸した勇気だけで解決できますので,一人で悩まず,ご相談下さい。 |
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1.前出の東京高等裁判所第21民事部が下した原告逆転勝訴判決につき,アールブリアンらは2008年12月11日付けで最高裁への上告及び上告受理を申し立てていましたが,2009年6月4日,最高裁第一小法廷はアールブリアンらの上告を棄却及び上告審として受理しないとの決定を下しました。 2.これにより,東京高裁の原告勝訴判決が確定したことになります。よって,これからアールブリアン及び登坂らに対し,判決認容額51万8,000円及び遅延損害金の速やかな支払いを求め,原告の現実的な被害回復を図りたいと思います。 |
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アールブリアン株式会社らによる絵画商法に関し,名古屋地裁民事第6部(清藤健一裁判官)は2009年4月27日,アールブリアン株式会社及びその代表者登坂輝久(会長),登坂勇(社長),そして同族役員であり販売にも直接関わった登坂由紀に対し,連帯して金534万8854円の支払いを命ずる原告勝訴判決を言い渡しました。尚,判決認容額は,既払金額全額(486万2,854円)と約1割の弁護士費用(48万6,000円)を併せて認めたものです。 原告は愛知県内の自動車部品製造会社に勤務する27歳(当時)の男性で,学生時代を東京で過ごしたこともあり,就職後も年に数回程度,買い物や友人に会う目的で東京に出掛けていました。本件当日も,原告が買い物をしようと新宿に出掛けたところ,路上でアールブリアンの女性従業員に「近くの画廊で展覧会をしているので,時間があったら見て行きませんか」と声を掛けられ,店舗に連れ込まれて80万円もの高額なシルクスクリーンを購入させられました。 その後も,女性従業員は「レセプションパーティに招待します」,「画家や芸能人も来ますので,ぜひ参加して下さい」等と本来の販売目的を秘して原告をアールブリアンの店舗に呼び出し,今度は登坂由紀や別の女性従業員が原告に原画の販売勧誘を行いました。結果,原告は僅か半年の間に3枚,既払総額486万2,854円もの高額な売買契約を締結させられました。 判決において,名古屋地裁民事6部は,要旨「原告が本件各絵画を購入する旨の意思表示をするに至った要因は,少なくとも絵画の市場価格ないし転売価格が少なくとも契約に係る代金額と同程度であり,換金することが可能な客観的・資産的価値があると信じたことであることは容易に推認することができる」とし,それに対して本件絵画の価値は「数万円ないし十数万円であると認めるのが相当」と認定した上で,原告が前記誤信に至ったのは「販売担当者の本件各絵画についての虚偽の説明や,長時間の執拗な勧誘に起因するものである」として,「契約の重要な部分について詐欺的な行為があったものといわざるを得ない」と示しました。 また,同判決は原告の供述をほぼ全面的に採用して,女性従業員が販売目的を秘して店舗に入店させた事実,長時間に亘って原告を勧誘し,原告が退場したがっていることを承知で勧誘を続けた事実を認定し,「これらを総合的にみれば,上記販売担当者らが原告を勧誘して本件各契約の締結に至らしめた一連の行為はいずれも違法であって不法行為を構成する」と厳しく判示しました。 更に,同判決は前出の東京高裁判決に続いて国民生活センターに集積されている被害情報を重要視し,「一定の傾向があることは顕著」であると示し,原告の事情もまたこれに沿うものであるとして「少なくともその中核・骨子部分の信用性は高いというべきである」と,原告の供述を採用する根拠の一つとしました。 よって,名古屋地裁民事6部は,アールブリアンについては民法715条の使用者責任,代表取締役である登坂輝久と登坂勇,取締役である登坂由紀の3個人については旧商法266条の3第1項の責任を認めました。 東京高裁の判決後,2名の青年から依頼を受け,提訴ないし準備中です。被害に遭った人たちは,一寸した勇気だけで解決できますので,一人で悩まずご相談下さい。 |
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1.アールブリアン(株)(本社:東京都港区赤坂六丁目15番11号)とその子会社であるABGグループは,秋葉原,渋谷,新宿などの路上で,絵を見て行きませんかと女性に免疫のない青年をキャッチ,店に引き込んで,若い女性が体を接近させる等して長時間に亘って執拗にシルクスクリーンの版画等を「近い内に値上がりする」,「価格が上がる」とか称して買取りを迫り,勉強や仕事一筋で女性と接したことがなく,気弱な性格の青年に契約に至らせるという商法を展開している。 最初の契約後は,渋谷本店の展示場に見るだけでいいからと称して誘い出し,同所に行くと,又,最初の契約と同一のパターンで執拗に契約に至らせるというやり方を展開している。 青年がクレジットの月々の支払いが負担になって,買わされた版画や原画を買い取ってもらおうと思い,アールブリアンに連絡すると,買取を拒否され,そこでネットを調べると,被害の書き込みの多さを知り,自分も騙されていたと気付くパターンである。 又,絵画販売業者に買わされた版画・原画等を査定に出すと,例えば48万円で買わされた版画は5千円〜1万2千円程度にしかならなかった。 2.本件では,国立の大学院を出て民間研究所に就職し,女性に免疫のない男性(当時26歳,東京在住)が実家のある神戸市に帰省中に神戸市三宮を歩いていたところ,子会社である(株)ギャラリークレセント(東京都港区赤坂九丁目1番2号)のキャッチに遭い,店に引き込まれて契約(48万円)に追い込まれ,その後,渋谷のショールームに誘い出され,160万円の原画を買う契約をさせられるが,後者については自分でクーリングオフし,1件目を裁判したというものです。 3.当初から,私は訴状等を作成するなど実質上の代理人でしたが,私が訴訟上の代理人になると私が裁判所へ毎回出頭しなければならないこともあり得るので,交通費の節約のため訴状に私の名前は出さず,八王子簡易裁判所において本人訴訟で提起したところ,東京地裁八王子支部に移送されてしまいました。 4.ところが,担当裁判官は1年半以上にも及ぶ裁判を開きながらも,終始,原告の主張には耳を傾けず,途中で電話会議で参加することになった原告代理人(私)が求めた登坂輝久会長や高見澤玲子社長の人証申請に対し,「事実関係の調査をするための尋問事項が見られる」「証拠探し」として被告本人であるにも関わらず尋問を許さず,また,電話会議の中で,「(登坂会長らの人証が)採用されたとしても自分の会社に不利なことは証言しないと思うし,言わなければ言わないで(黙認したとして)不利な立場に置かれるのも困るだろう」と述べるなど,原告から見れば登坂会長らの地位や立場を重視・庇護する発言をしました。その上,原告代理人が申し立てた相手の手持ちの会計書類等の文書提出命令申立に対しても,1審裁判官は度々「判断を示す」と明言しながらも判断を先延ばしにし,遂に申立を認めることをせずに結審した。このように,1審裁判官は原告が立証責任を負っているのに原告の立証方法を極度に制限する訴訟指揮をとり,原告本人と勧誘担当者の尋問をやったのみで結審し,2008年1月16日に心配したとおり原告の請求を棄却するとの1審判決を言い渡しました。 5.原告はこれを不服として2008年1月29日に東京高等裁判所に控訴を提起したところ,3回の口頭弁論を経て2008年11月27日,東京高等裁判所第21民事部(渡邉等裁判長,高世三郎裁判官,山口信恭裁判官)は,新たな証拠調べをすることなく,1審判決を全面的に否定し,標記の被告ら全員に対し,連帯して51万8,000円と遅延損害金の支払いを命ずる原告逆転勝訴の判決を言い渡しました。尚,上記認容額は,原告が支払った商品代金48万円から裁判所が妥当と認める絵画の客観的価額1万2,000円を差し引いた46万8,000円と弁護士費用5万円を併せて認めたものです。 6.控訴審判決の要旨 (1)特定商取引法
(2)消費者契約法
(3)不公正な販売価格
(4)本件絵画商法の組織ぐるみの違法性
(5)国民生活センターに集積されている被害情報に関する東京高裁21民の正当な評価 1審判決は,私が弁護士法23条の2に基づいて国民生活センターに照会を掛けたアールブリアンらにかかる相談件数,契約者属性,内容キーワード,具体的事例などの回答文書について,その中身よりも,鑑に書かれた「なお,回答の会社がご照会の会社と同一会社であるか否かの調査はしていませんので,同名の他社の情報を含む可能性があります」という定型の注意書きを上げつらい,「これらの中には,被告アールブリアンや被告ギャラリークレセントはもとより,ABGグループに関するものですらないものも含まれ,被告アールブリアンや被告ギャラリークレセントに関するものにしても,直接本件事案と関わるものでない以上,これら書証によって(被告らの)共同不法行為,単独不法行為を認めることはできない」と国民生活センターの情報を軽視した。 然るに,東京高裁21民は同回答書を重く受け止め,アールブリアンらに関して寄せられた相談の内容キーワードや具体的事例が「(本件において従業員が)行なった種々の違法な勧誘行為と同種の勧誘行為が行なわれている事実や本件と同様に法律に基づく意思表示の撤回に応じない事実が記述されている」と指摘し,本件違法勧誘が従業員個人の故意や過失に基づくものではなく,アールブリアン及びABGグループの代表者らによって組織的に行なわれているものであることを認定するに至った根拠の一つとしました。 (6)被控訴人らの責任 同判決は,販売担当者らは民法709条及び719条1項本文による不法行為責任を負うとし,使用者であるギャラリークレセントには民法715条1項の責任があると認めました。そして,同社の代表取締役高見澤玲子及びアールブリアンの会長登坂輝久,社長登坂勇には商法266条の3第1項の取締役としての不法行為責任を,アールブリアンについては会社法350条の損害賠償責任を認めました。 7.東京高裁21民は,新たに登坂輝久,登坂勇,高見澤玲子の証拠調べをした訳でなく,私からの文書提出命令を採用した訳ではありません。私から高裁で提出した書証は,私が担当した静岡地裁,静岡地裁沼津支部,水戸地裁日立支部,名古屋地裁係属事件に関する私の報告書と作家の版画の市場価格の追加証拠でした。高裁で追加した証拠で判断が覆ったとも思えません。1・2審裁判官の天と地の判断の差は,高裁判決が特定商取引法や消費者契約法の精神に忠実であったこと,国民生活センター情報を正当に評価したことが最大の要因と思います。消費者被害訴訟を多数やっていると,担当裁判官の温度差の違いを痛切に感じます。本件高裁判決は,消費者被害救済に大きく道を拓く価値あるもので,今後大いに活用させて頂きます。 8.最後に,アールブリアンらに関する本件絵画商法はテレビで複数回取り上げられるほど社会的問題になっており,潜在的被害者が多数存在することは確実です。同じ被害に遭われている方で自分を責めてお金の取戻しを諦めている方が多いのではないかと判断します。私が担当し,現在進行形で水戸地裁日立支部や名古屋地裁で闘っている青年たちがいます。東京高裁判決で勝利の方程式が出来上がったと言い切っていいと思います。自分を責めて諦めることをやめ,アールブリアンを始めとしたABGグループの法的責任追及を当事務所と共に闘いませんか。 (2009年1月6日追記)2009年1月3日付の東京新聞朝刊社会面のトップに上記絵画商法の勝訴判決が取り上げられました。 東京新聞TOKYO Web → 「高額絵画商法 違法を認定 異例の勝訴」記事のページ http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009010302000047.html |
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鬱病を患っている静岡県出身の男性(被害当時34歳)が神奈川県の会社に勤務中,秋葉原で絵画販売業者の若い女性従業員のキャッチに捕まり,鬱病症状の判断力・理解力不足に付け込まれて契約させられた上,
2001年12月から2002年11月までの1年弱の間に渋谷本店に呼出され,次々に1点72万円〜185万円もする高額な絵画及びシルクスクリーンを5点購入させられ,クレジット支払総額合計約800万円もの契約をさせられる被害に遭いました。 男性は2003年8月に自力で絵画販売業者と交渉しましたが,やはり鬱病による判断力不足に付け込まれ,5点のうち2点についてしか解約できないと言われ,2点分のクレジット既払金計62万5300円の請求を放棄を条件に解約処理してもらい,残り3点分の支払いは続けるという条件で和解させられました。 男性は仕方なく残り3点分のクレジットの支払を続けていましたが,不要な絵画のための支払いに苦しみ,サラ金からの借入れを繰り返して多重債務に陥り,鬱病が悪化し業務に支障が生じ退職せざるを得なくなり,郷里の静岡県に戻ってきました。一旦は自己破産を考えたのですが,弁護士の励ましを受け,業者に被害の回復を求めることにしました。 交渉決裂後,既払金346万6200円の返還と慰藉料と弁護士費用の支払いを求め,絵画販売業者とその代表取締役を被告として2005年4月19日に静岡地方裁判所に民事提訴し,闘ってきましたが,10月12日に裁判上の和解が成立し,クレジット残債務276万0800円は業者が負担することになり,既払金のうち195万円が返金されました。 集中証拠調の直前の2005年10月2日PM5:30からのTBS報道特集「若者を狙う絵画商法」が渋谷の路上で若い女性がキャッチをして若者をお店に引き込んでいるのを放映していました。もしかして本件業者ではないかと思い,会社側証人の反対尋問で質問したところ,TBSの番組で取り上げられたことを認めました。 潜在被害者は多いはずです。 |
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