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無資格マッサージ商法(最終更新日:2009/1/21)
2009/1/21 無資格マッサージ商法その後
2005/11/21 マッサージの無資格者をバイトとして求人し、指導料を取ろうとした業者に、逆に慰藉料等の反訴請求 が認容された判決
(静岡簡裁:2005年11月14日判決)
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以前、当HPでお伝えした無資格マッサージに関わる裁判が、新たに 2件(同一経営者)ありました。
1件は2007年6月、新聞の求人欄でマッサージ師等スタッフを募集しているのを見た男性Aさん(20歳代)が応募、面接を経て治療院で雑用や無免許マッサージに従事、賃金が一円も支払われないまま同年8月に辞め、その後同院の経営者から逆にマッサージ指導料10万円を請求され、困って当職に相談、未払い賃金(約10万円)の支払い及び、上記マッサージ指導契約の無効を求める通知書を送付したものの回答がなかったため、同年11月静岡簡易裁判所に提訴し、未払い賃金・慰謝料等を請求しました(請求額約45万円)。
もう1件は2007年10月、新聞の求人欄で院内スタッフ募集記事を見た女性Bさん(40歳代)が、面接を経て治療院で勤務を開始したが、無免許マッサージ・灸をやらされ、セクハラ行為を受け、挙句些細なことで立腹した経営者から分厚い雑誌で叩かれ、同年12月に解雇されたという事案で、2008年1月、未払い賃金・解雇予告手当・付加金・慰藉料等を請求する裁判を静岡地方裁判所に起こしました(請求額約198万円)。
Aさんの事件では、1審では経営者が答弁書も出さず、判決が出た後控訴してきました。控訴審(静岡地方裁判所)で経営者は、整体マッサージ指導料を請求する反訴事件を起こしましたが、証拠調べを経て、2008年12月26日付で判決が言い渡され、控訴人(経営者)の請求を却下し、未払い賃金全額の支払いを命じました。
またBさんの事件では、証拠調べを経て、2008年12月1日付で判決が言い渡され、未払い賃金・解雇予告手当・付加金と、慰藉料の内80万円と、弁護士費用の内8万円の合計約104万円が認容されました(尚、本件は東京高裁に控訴されました)。
全く懲りない経営者です。
2005/11/21 マッサージの無資格者をバイトとして求人し、指導料を取ろうとした業者に、逆に慰藉料等の反訴請求 が認容された判決
(静岡簡裁:2005年11月14日判決)
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 2005年1月、求人情報誌に「マッサージ師,(見習い可)」「時給700〜1500円」「50才までの男女」とあるのを見た主婦(1959.8月生、46才)が、求人先のマッサージ治療院(静岡市葵区)に応募し面接を受けたところ、「1回40分で4〜5千円のホテル等の出張マッサージで、その中からバイト代が払われる。お客さんの所へ行けるようになるまで、マッサージを覚えてもらう」と云われた。
 1月中旬に2回、先輩から指導を受け、1月19日に初めて経営者(有資格者)から指導料10万円を払うよう云われた。求人情報誌に指導料の記載がなく、面接時にも云われておらず、不信感が湧いてきた。そのため以後指導を受けに行かなくなったところ、経営者から頻繁な電話による催促や、内容証明郵便で催促されたり、調停申立や本裁判を起こされた。本裁判係属後困った本人は、私に依頼してきた。
 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律は「医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、はり又はきゅうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許(以下免許という。)を受けなければならない」とあり、3年間の学校通学を課せられています。従って、バイトであっても、反復継続の意思をもってマッサージ業務をさせるには、被派遣者に国家の免許が必要であり、無資格者を就労させる目的で研修を強いることは違法であり、無駄な時間を浪費させたとして、30万円の慰藉料と弁護士費用5万円の合計35万円の反訴請求をしました。
 争点は@欺瞞的求人広告により消費者を誘引する就職商法の違法性の有無、A無免許マッサージ業に従事させようと研修を強いたことの違法性の有無、B不当な調停申立と不当提訴でした。
 判決は、原告(経営者)の請求を棄却し、@、Aの違法性を認め、反訴請求35万円の内、慰藉料10万円と弁護士費用2万円の計12万円を認容しました。
(1) 原告(経営者)は、証拠調べで「ウチは指導料10万円しか取っておらない。〇〇整体は100万円も指導料を取る場合がある」と証言していました(〇〇の部分は、名称を証言していましたが、実在しない名称だったので〇〇にしました。原告の記憶間違いと思いますが、金額も違っています)。
(2) 問題点は3つあります。1点目は法に違反して街中に〇〇整体の看板で無資格者が営業をしており、野放し状態になっています。
 2点目は、無資格者の中に、若者に2年分の指導料として294万円を払わせて(5年クレジットを組むと360万円余)、ろくな指導をしていないことによりトラブルが発生していることです。
(3) 3点目は、本件のような有資格者が、無資格業者の指導料の高さに誘発されて、自ら無資格業者を養成し、その過程で指導料を取り、無資格者をホテル、旅館、サウナ、一般家庭に派遣しているということです。
(4) 厚生労働省や保健所や警察は無資格者をきちっと対処すべきです。
(5) 本件判決は、私の知る限り、無資格マッサージ派遣のための求人商法を違法とした初判例であり、野放しにされている無資格業者に警鐘を鳴らすものです。
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