西山太吉国賠訴訟
(裁判報告)最新更新日:2008/2/23
裁判報告(控訴審)
08/2/20 控訴審判決
07/12/3 第3回口頭弁論
07/10/3 第2回口頭弁論
07/7/23 第1回口頭弁論
07/4/9 控訴状提出
裁判報告(一審)
07/4/2 一審判決
06/12/29 第9回口頭弁論
06/11/8 第8回口頭弁論
06/8/30 第7回口頭弁論
06/6/7 第6回口頭弁論
06/3/29 第5回口頭弁論
06/2/24 第4回口頭弁論
05/12/15 第3回口頭弁論
05/10/24 第2回口頭弁論
05/7/9 第1回口頭弁論
西山太吉さん講演要旨
06/5/10 西山太吉さんインタビュー記事
(岩波書店『世界』2006年5月号掲載)
06/2/7 西山太吉さん講演要旨A(2006/1/21 那覇市内)
05/7/14 西山太吉さん講演要旨@(2005/7/14 名古屋マスコミ夜塾の集会
その他
07/4/2 緊急討論会「復帰35年,あらためて問う沖縄返還密約 私たちはどう向き合うべきか 〜東京地裁判決を前に〜」(2007/3/24 那覇市内)の報告
07/3/19 判決前緊急シンポジウム「沖縄密約問題がいま,問いかけるもの」(2007/3/16)の報告
06/3/6 吉野文六氏発言第2弾朝日新聞諸永裕司記者のスクープ(2006年2月24日)〜河野洋平外相(当時)が吉野氏に「密約否定を要請」
06/2/14 吉野文六氏密約認める発言、「毎日」社説が取上げる−密約は5本,その額は2億0700万ドルに切込む報道を!
06/2/10 吉野文六元局長、毎日・朝日新聞にも真実明かす〜大手紙がフォロー
06/2/9 吉野文六元外務省アメリカ局長、遂に真実を明かす
05/10/6 シンポジウム「沖縄密約訴訟が問いかけているもの」開催のお知らせ
西山太吉国賠訴訟
裁判報告(控訴審)
2008年2月20日 西山太吉(元毎日新聞記者)国賠訴訟 控訴審判決言渡期日報告
1. 2008年2月20日(水)16時,東京高裁808号法廷で西山国賠訴訟控訴審の判決言渡がありました(大坪丘裁判長)。
東京高裁第9民事部は,1審東京地裁判決と同様,密約の存否について判断しないまま,控訴人の請求を退ける判決を言い渡しました。
控訴人側は控訴人本人と控訴人代理人,被控訴人(国)側は指定代理人3名が出廷,一般傍聴者は28名でした。
2. 判決主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
3. 判決の大要
1.
@検察官の公訴提起等の各行為,吉野・井川の偽証行為は,本件提訴時までに,各行為時から既に20年以上が経過しており,民法724条後段の適用の有無が問題となる
A同条後段の規定は除斥期間,その起算点は各行為のときと解するのが相当である
B検察官の各行為,吉野・井川の証言行為については,各行為時が除斥期間の起算点であり,本件訴え提起までに20年以上が経過している
C除斥期間の適用が正義・公平に反し,信義則に違反する,権利濫用に当たるという控訴人の主張は,主張自体失当である
D20年の期間満了にあたり,控訴人の権利行使がおよそ不可能な状態にあったとは認め難く,事実上困難であったというにとどまることが明らかで,除斥期間の適用を制限する余地もない
E仮に権利行使が2002年頃まで不可能であったとしても,本件訴えはそれから2年以上経過してからなされており,速やかに権利行使したともいえない
F本件は,本来,刑事確定判決に対して再審請求をして争うべき事案である
G従って,検察官,吉野・井川の各行為に対する請求は理由がない
2.検察官の再審請求権の不行使については,有罪の言渡しを受けた者にも独自に再審請求権が認められており,例えそれが公益の代表者としての検察官の職務上の義務違反と評価されるとしても,検察官が,再審請求をしないというだけで,有罪の言渡しを受けた者の法的保護に値する利益が侵害されるとは評価できず,理由がない
3.
@国務大臣らによる密約否定発言等については,政府の公式見解を一般的に述べたに過ぎず,一般人の普通の注意と読み方,聞き方を基準として判断すると控訴人に関するものと受け取られないというべきで,控訴人の社会的評価を低下させるものとは認め難い
A控訴人と関連付けてなされた質問に対する答えも政府の見解を一般的に述べたにとどまり,控訴人の社会的評価を低下させるものとはいえない
B河野外相による吉野への密約否定要請の事実を否定した麻生外相の発言も,控訴人の社会的評価を低下させるものではない
C従って,これらの発言が控訴人の名誉を毀損するとはいえず,理由がない
4.外務省職員と河野外相が吉野氏に電話で密約否定を懇願し,控訴人の名誉回復の機会を奪ったとの控訴人の主張については,仮にそれが事実としても,吉野氏に対して政府の公式の見解に沿って報道に対応して欲しいという働きかけをしたに過ぎず,控訴人の名誉回復の機会を奪うことを積極的に企図し,あるいは結果を認識して故意になされたとは 認め難く,理由がない
5.原判決は相当であり,本件控訴は理由がなく棄却
4. 控訴人代理人の感想
東京高裁第9民事部には,刑事最高裁の誤判を正す公正な判決を期待しましたが,今回の高裁判決も,密約の存在について全く言及しておらず,除斥期間論を展開して密約の存否の判断から逃げました。司法への期待,信頼をまたも裏切る判決であるという外ありません。東京高裁の裁判長,裁判官は,控訴人が求めた吉野氏や河野元外相,当時の検察官らの書面尋問も行わず,立証の機会を与えないまま,歴史の真実を直視する重大な責任から逃げたのです。
沖縄返還を巡り,当時の佐藤政権によって,日米両政府間に密約が交わされていた事実は,もはや社会的,客観的に明らかです。一審,二審を通じて,数々の密約の存在を客観的証拠に基づいて立証してきましたし,佐藤栄作政権の権力犯罪を十分に解明できたと思っています。西山さんが辿り着いた密約は,法によって保護されるべき「秘密」ではないのです。「秘密」が成立しないのに,その漏洩の唆しなど成立しようがありません。犯罪の証拠を掴み,報道した西山さんが,国家によって罰せられる理由はどこにもなかったのです。このようにごく単純で簡単なことが,司法によって認められないのです。
密約の存否についての判断を避けては,違法行為の判断,除斥期間の適用の是非や,法的評価など正しくできるはずもありません。このように,今回の高裁判決は,判断に重大な遺漏があり,到底公正な判断とはいえないので,密約の存在と刑事最高裁の誤判を裁判所が認め,西山さんの名誉が回復されるよう,最高裁に上告して闘う所存です。また,刑事再審の申立を決意するよう,西山さんにより一層強く働き掛けていきたいと思います。
5. 傍聴者・支援者の皆様へ
当日は,50名を超える方々が傍聴のため東京高裁に足を運んで下さいました。一般傍聴席は28席で,抽選に外れ傍聴していただけなかった方が多数いらっしゃったことを大変心苦しく思います。控訴審においても,第1回期日から判決言渡まで,「沖縄密約訴訟を考える会」の方々を始め,西山国賠訴訟に共感・共鳴下さる多数の方々から裁判へのご支援・ご協力を賜りました。これまでのご支援・ご協力に厚くお礼申し上げますと共に,今後も益々のご支援・ご協力をお願い致 します。
2007年12月7日 西山太吉(元毎日新聞記者)国賠訴訟控訴審第3回口頭弁論報告
1.  2007年12月3日(月)16時、東京高裁808号法廷で西山国賠訴訟控訴審第3回口頭弁論が開かれました。傍聴者は20数名でした。
 控訴人から前回以降2つの準備書面と書証が出され、国からは何も提出されませんでした。
2.  本日をもって結審することが、前回期日に大坪丘裁判長から伝えられていましたので、控訴人代理人藤森克美弁護士から意見陳述をなしました。
 その内容はこちらです。
3.  判決は、2008年2月20日(水)16時、808号法廷で言渡されます。
4.  数々の密約の存在が立証でき、佐藤栄作政権の権力犯罪を十分に解明できました。西山太吉さんが辿り着いた3通の電信文案は、佐藤栄作政権の権力犯罪の証拠であって、到底最高裁決定に云う法の保護に値する秘密には該らず、西山さんの冤罪は明らかと確信しています。一審判決は判決理由でいきなり除斥期間論を展開し出して、密約の存否の判断から逃げましたが、民事訴訟法上、許されないことです。
 控訴審では密約の存在の認定、佐藤政権の権力犯罪の認定、刑事最高裁決定の誤判性が判断されるものと期待しております。
2007年10月4日 西山太吉(元毎日新聞記者)国賠訴訟控訴審第2回口頭弁論報告
1.  2007年10月3日(水)16時,東京高裁808号法廷で西山国賠訴訟控訴審第2回口頭弁論が開かれました(大坪丘裁判長)。
控訴人側 控訴人本人,控訴人代理人
被控訴人側 被控訴人(国)指定代理人3名
傍聴者 約35名
2. 双方提出文書
控訴人側 @2007年8月9日付証拠説明書(3)
A甲88号証の1ないし4 (朝日新聞be“逆風満帆”−吉野文六)
B2007年8月9日付証拠説明書(4)
C甲89号証ないし甲106号証 (鈴木宗男衆議院議員提出の質問主意書,政府答弁書)
D2007年9月19日付人証の申出2(書面尋問申出書) 3人の担当検察官
E2007年9月26日付証拠説明書(5)
F甲107号証ないし甲112号証 (「自発的支払」関連の米公文書)
被控訴人側 @2007年10月3日付準備書面1
A2007年10月3日付意見書
3. 裁判の様子と次回の進行予定
(1) 控訴人側
@ 2007年9月19日付「人証の申出2(書面尋問申出書)」において,当時「情を通じ」という表現を2回も盛り込んだ異例の起訴状を提出し意図的に問題の本質を擦り替えた起訴検察官,当時の公判立会検察官で,3通の電信文案や証拠関係が明白に示す密約の存在及び内容を一審冒頭陳述書に記載せず虚偽の主張立証をし,更に偽証確実な吉野文六氏・井川克一氏を証人申請しその尋問を担当して偽証を引き出し,一審論告においては密約がない等と虚偽の主張を為して無罪論告をせず,公訴を追行した担当検察官,同じく公判立会検察官で井川克一氏の尋問を担当して偽証を引き出し,一審論告においては密約はない等と虚偽の主張を為して無罪論告をせず,公訴を追行した担当検察官に対する証人申請(書面による尋問)を行いました(上記控訴人側提出文書D)。
A 朝日新聞be“逆風満帆”に4回シリーズで連載された吉野氏のインタビュー記事を甲88号証の1ないし4として,新たな米公文書発掘の各紙報道や控訴人の著書『沖縄密約』(岩波新書,甲80号証)内の記述等を踏まえて鈴木宗男衆議院議員が提出した質問主意書及び政府答弁書を甲89〜106号証として,沖縄返還を目前にした1972年5月に400万ドル肩代わり密約の追求再燃を恐れた日本政府が米政府に支払業務の延期を要請し,支払開始が1年先送りされた事実等を明記した米公文書を甲107〜112号証として,それぞれ提出しました(上記控訴人側提出文書A・C・F)。
(2) 被控訴人側
1.準備書面1(上記被控訴人側提出文書@)において,控訴人側の2007年6月5日付控訴理由書(第1回控訴人側提出文書A)に対する反論と人証の申出(第1回控訴人側提出文書B)に対する反対意見,2007年10月3日付意見書(上記被控訴人側提出文書A)において,控訴人側の2007年9月19日付人証の申出2(上記控訴人側提出文書D)に対する反対意見がありました。
2.控訴理由書における口止め工作に関する控訴人側主張に対する反論として,仮に密約が存在するとしても控訴人の有罪無罪を何ら左右するものではなく,その存在が判明したからといって刑事事件の有罪判決が誤ったものになったとの結論が導かれるものではない,従って控訴人の主張は失当である,人証の申出及び同2については,いずれも,控訴人の主張はいずれも主張自体失当であるか,除斥期間を経過したものであって,実質審理に入るまでもなく棄却されるべきであるとし,控訴人の人証の申出についてはその立証の必要性がないとして,却下を求めるものです。
(3) 裁判所から,
控訴人側の人証の申出に対し,裁判所は既に提出された証拠に基づいて判断すれば足りるという考えで,証人については採用しないとの考えが示され,いずれの証人についても却下となりました。
(4) 今後の進行予定
次回を最終弁論とし,それまでに控訴人側から最終的な書面ないし書証を提出し,これに対して被控訴人側が反論して弁論終結となる予定です。
4. 第2回口頭弁論の傍聴者の皆様へ
 第2回口頭弁論には,約35名の方々が東京高裁に足を運んで下さいました。この場をもってお礼を申し上げます。
5. 弁論終了後の傍聴者に対する説明会
(1) 民事訴訟では,双方の主張や証拠等を事前に送付するため,法廷では,傍聴者の方々には裁判の進行状況が分かりにくいと思いますので,今回の弁論終了後も,裁判について控訴人代理人から傍聴者の方々に説明する機会を設けました。
(2) 次回も傍聴者の方々に対する説明会を行いますので,西山国賠訴訟に共感・共鳴される方々の裁判傍聴,弁論終了後の説明会への多勢のご参加・ご支援をお願いします。
6. 次回期日のお知らせ
 控訴審第3回口頭弁論期日は,2007年12月3日(月)16:00,東京高裁808号法廷(傍聴席42席)です。
次回期日は最終弁論の予定です。是非傍聴席を埋め尽くすほどのご参加・ご支援をお願いします。
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2007年7月23日 西山太吉(元毎日新聞記者)国賠訴訟控訴審第1回口頭弁論報告
1.  2007年7月23日(水)10時30分,東京高裁809号法廷で西山国賠訴訟控訴審第1回口頭弁論が開かれました(大坪丘裁判長)。
控訴人側 控訴人本人,控訴人代理人
被控訴人側 被控訴人(国)指定代理人3名
傍聴者 約30名
2. 双方提出文書
控訴人側 @2007年4月9日付控訴状
A2007年6月5日付控訴理由書
B2007年7月17日付人証の申出(書面尋問申出書) 吉野文六,河野洋平
C2007年7月19日付準備書面(1) 原判決の争点整理の訂正・附加
D2007年7月17日付証拠説明書(1)
E2007年7月20日付証拠説明書(2)
F甲80号証ないし甲87号証
被控訴人側 @2007年7月23日付答弁書
3. 裁判の様子
(1) 控訴人側
@ 控訴理由書(上記控訴人側提出文書A)において,全ての判断の基点となる密約の存在及び内容に関する原判決の判断の遺漏,原判決の事実摘示は弁論主義に反し援用できないこと,原告の請求を除斥期間の経過という一律かつ形式的理由により棄却した誤り,国の違法な先行行為に基づく作為義務違反を認めない原判決の誤り,検察官の再審請求権の不行使を作為義務違反と認定しなかった誤り,政府高官らの密約否定発言・回答等を原告に対する名誉毀損に該らないとした原判決の誤り,外務省職員と河野洋平元外相による吉野文六に対する口止め工作を認めず原告の名誉回復の機会を奪った違法行為を認めない誤り,原告の主張及び立証を故意または重大な過失により時機に後れて提出した攻撃方法として却下した判断の違法等について主張しました。
A 2007年7月17日付「人証の申出(書面尋問申出書)」において,政府関係者として初めて密約を認めた外務省元アメリカ局長の吉野文六氏と吉野氏に口止め工作をし,自らも密約否定発言をした河野洋平元外務大臣に対する証人申請(書面による尋問)を行いました(上記控訴人側提出文書B)。
B 準備書面(1)(上記控訴人側提出文書C)において,原判決の争点整理を附加・訂正する主張を行いました。
C 控訴人の著書『沖縄返還─「情報犯罪」と日米同盟』を甲80号証として,原判決を批判した各紙社説を甲81〜84号証として,沖縄返還を目前にした1972年5月,400万ドル肩代わり密約の追求再燃を恐れた日本政府が米政府に支払業務の延期を要請し,支払開始が1年先送りされた事実や,実際に支払われた補償費が100万ドル以下であった事実,6500万ドルの協定外密約が存在した事実等を明記した米公文書が新たに発掘されたことを報道した新聞記事を甲85〜87号証として,それぞれ提出しました(上記控訴人側提出文書F)。
(2) 被控訴人側
答弁書(上記被控訴人側提出文書@)において,控訴人側の2007年6月5日付控訴理由書(上記控訴人側提出文書A)に対する反論がありました。本件控訴には理由がないとして棄却を求めるものです。
(3) 裁判所から,
弁論更新の後,控訴人側・被控訴人側双方に対し,今後の主張・立証の予定について質問がありました。これに対し,
@ 被控訴人から,
控訴人側提出の「人証の申出(書面尋問申出書)」(上記控訴人側提出文書B)に対して次回までに反対意見書を提出する旨が伝えられました。
A 控訴人側から,
新たに発見された密約を裏付ける米公文書等を書証として提出する予定であることを伝えました。
4. 今後の進行予定
控訴人側 新たに発見された密約を裏付ける米公文書等の書証を追加する。
被控訴人側 控訴人の人証の申出(書面尋問申出書)に対する反対意見書を提出する。
5. 第1回口頭弁論の傍聴者の皆様へ
 第1回口頭弁論には,約30名の方々が東京高裁に足を運んで下さいました。この場をもってお礼を申し上げます。
6. 弁論終了後の傍聴者に対する説明会
(1) 民事訴訟では,双方の主張や証拠等を事前に送付するため,法廷では,傍聴者の方々には裁判の進行状況が分かりにくいと思いますので,一審同様,今回の弁論終了後も,裁判について控訴人代理人から傍聴者の方々に説明する機会を設けました。
(2) 今後も継続して傍聴者の方々に対する説明会を行っていきますので,西山国賠訴訟に共感・共鳴される方々の裁判傍聴,弁論終了後の説明会等への多勢のご参加・ご支援をお願いします。
7. 次回期日のお知らせ
 控訴審第2回口頭弁論期日は,2007年10月3日(水)16:00,東京高裁808号法廷(傍聴席42席)です。
次回期日は是非傍聴席を埋め尽くすほどのご参加・ご支援をお願いします。
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2007年4月9日 控訴状提出
 2007年4月9日,控訴状を提出しました。
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