津地裁第1次訴訟に判決

〜7名勝訴、4名敗訴〜


1、津地方裁判所民事部内田計一裁判長は、2003年3月20日午前10時、95年2月提訴以来@持込み財産返還請求(4名)、A賃金相当分から生活費分を控除した剰余金の返還請求(2名)、Bその混合型(5名)をしていた原告計11名に対し、判決を言渡した。

2、判決は、別紙比較表のとおり、

@持込み財産のヤマギシ会への所有権移転を認め、脱会しても全部を返さないという合意は公序良俗違反で一部無効、返すべき範囲は、諸般の事情を考慮すべきとして、持込み財産の返還を一部認容(7名勝訴、但し返還率は5.8%〜83%)、

A賃金(労働の対価)についての権利は一切認めず、

Bイ、持込み額が56万円で脱会時ヤマギシ会からの交付額20万円(その差額36万円)、ロ、持込み額が86万円(裁判所認定額)で脱会時交付額10万円(その差額76万円)の原告2名については、持込み額が少額として、返還を一切認容せず、

C税務署が贈与税課税した4人については、現存利益が残っていないとして課税額全額を返還対象から控除した。

このように、持込み財産の返還の判断については、K.Y訴訟の東京高裁判断を踏襲しています。

3、私の評価

(1)、持込み財産のヤマギシ会への所有権移転を認めるのは誤りである。

(2)、ヤマギシ会は悪意の受益者であり、返還対象額から贈与税課税分を全額控除したのは誤りである。

(3)、財産を返還させることによって、ヤマギシ会が存続できるかどうかを裁判所が配慮しているのは、個人の尊厳の価値を第1順位に置き、企業活動の自由の価値を劣位に置いている日本国憲法に背き、倒錯した思考であり、断じて許容できない。

又、2001年4月1日から施行されている消費者契約法9条1項1号(「次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする」(1)当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分」の考え方に原判決は明確に違反している。

同号では「平均的な損害」と規定するが、そもそも脱会したことによって、脱会者はヤマギシ会にどんな損害を与えたとイメージすることができようか。

「生涯タダ働きをさせ続ける利益がヤマギシ会の損害」ということは法的な保護に値しません。

脱会するときに残っている財産は全額返還すべきというのが、常識に適う判断です(K.Y訴訟の東京地裁の判決の正しさは自明です)。

(4)、賃金部分の清算を一切認めないのも不当です。

(5)、よって、原告団とも協議の上、不当度の高い原告の控訴を検討中です。