1、静岡地裁民事2部2係は、2007年3月23日、日本生命に対し死亡保険金3,000万円の支払を命じる判決を言渡した。
2、事案は
(1) 静岡市清水区の有限会社(飲食店,旅館経営,代表者は長男(1951年12月25日生))は、日本生命の女性外交員から勧誘を受けて父を被保険者として生命保険に入っていたが、父が2003年10月に死亡後、同外交員から母(1929年7月15日生、死亡時75歳)を保険者とするニッセイ定期保険キーマンプランへの加入を勧められ、2003年12月1日死亡保険金3,000万円の契約に至った。
(2) 母は、2005年1月17日清水区の東海道線に入り、電車に飛ばされ死亡した。
(3) 日本生命は、告知義務違反があったとして保険金を支払わず、簡裁に調停申立をしても不調となり、2006年1月27日提訴に至った。
(4) 原告は、商法678条1項に云う「保険契約者又は被保険者が悪意又は重大なる過失により重要なる事実を告げず又は重要なる事項に付き不実のことを告げる」という告知義務違反には該らないこと及び同条1項但書の「保険者(日本生命)が過失によって重要な事実を知らなかった」ときは、解除権を行使できないことに該当すると主張して係争した。
3、判決は、告知義務者である原告及び亡母には、重要事項を告知しなかったことにつき、悪意又は重大なる過失があるとは認められず、被告は、商法678条1項に基づき生命保険契約を解除することは出来ないと判断した。
4、昨今、保険会社の不当不払いが続発し、主務庁により業務停止などの行政処分が出ており、原告代理人は原告代表者と主務庁への申告を検討している。
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